最初に:アプリについて
スマートフォン推奨 :このWEBアプリは、スマートフォンでの表示・操作に最適化しています。
Googleアカウントで利用可能 :Googleアカウントがあれば、誰でも利用できます。
AI機能はAPIトークンの登録が必要 :AI機能を利用する場合は、ご自身でAPIトークンを取得し、アプリ内に登録してください。
解きたかった課題
Claudeが話題になり始めた2026年3月、「AIと一緒に、どこまで自分ひとりでプロダクトを作れるのか」を試してみたくなりました。
題材に選んだのは、自分自身が毎日感じていた不便でした。
毎年の目標はGoodnotes、日々の振り返りは手書きの日記で管理していたため、「目標」と「日々の行動」が分断されていました。
また、既存の目標管理アプリでは、自分の考え方に合った管理方法ができませんでした。
仕事・家族・趣味など、自分なりのカテゴリで目標を整理したいのに、その自由度がありません。結局、自分に合う形を求めてアナログで管理していました。
「目標設定」と「日々の振り返り」が一つにつながれば、もっと内省しやすくなるのではないか。
それが、このアプリを作ろうと思ったきっかけでした。
管理が分散したアナログ運用により、日々の行動と目標を連動して振り返れない状態だった
どう解いたか
目標管理とジャーナリングを、一つの流れとして設計しました。
年間目標をカテゴリごとに設定し、その日の出来事や気づきも同じカテゴリで記録します。
さらに、AIが日々の記録を分析し、月単位で振り返りを要約することで、「毎日の積み重ね」と「年間目標」が自然につながる ようにしました。
Year|1年の目標を描く
カテゴリごとに1年の目標を設定し、理想の未来をイメージできる画像を登録します。日々の行動につながる目標をつくります。
Day|日々の積み重ねを記録する
日々の出来事や気づきをカテゴリごとに記録します。AIからアドバイスを受けながら、自分の行動や考えを振り返ります。
Month|1ヶ月の歩みを振り返る
1ヶ月の記録をカテゴリごとに可視化し、時間や行動のバランスを把握します。AIが日々の記録から月のサマリーを作成し、1ヶ月の変化や気づきを振り返ります。
目標とジャーナリングを連動させることで日々の内省が加速する
プロダクトのこだわり
視覚的な情報を、モチベーションや内省につなげる
目標をインスパイアする画像を登録できるようにしたり、月の記録をカテゴリごとのグラフで自動的に可視化したりと、文章だけではなく、視覚的な情報からも自分の状態を振り返れるUI を意識しました。
また、カテゴリごとにカラーを設定することで、日々どのカテゴリを意識して過ごしているのか、どのカテゴリに記録が偏っているのかも、UI上で直感的に把握できるようにしました。
AIはあくまで「補助機能」
振り返りへのアドバイスや月のサマリー作成にはAIを利用できます。
ただし、AI機能を使うためのトークンを登録していなくても、アプリ自体は利用できるようにしました。
AIがプロダクトのコアではなく、あくまで内省をサポートする機能 として設計したかったからです。
本質は、AIに振り返ってもらうことではなく、年間の目標に対して、日々の自分の行動や考えをつなげていくことです。
AIに頼りすぎることで、自分で考える機会が減り、内省が浅くなってしまう可能性もあります。だからこそ、AIは「答えを出すもの」ではなく、「考えるきっかけを与えるもの」 として位置づけました。
AIをどのように使ったか
今回、AIはコードを書くためだけのツールではありませんでした。
「作りながら考える」ためのパートナー として使いました。
ベースとなるアプリは、約4時間で形にすることができました。
一度形になると、「もっとこうしたい」「ここはこう改善したい」「このUIのほうがわかりやすそう」といったアイデアを、その場ですぐに形にできます。
これまでなら「アイデアを考える → 設計する → 実装する」と時間がかかっていた部分を、AIと会話しながらすぐに試せるようになったことで、試行錯誤のスピードが一気に上がりました。
技術選定
最初はSupabaseを利用していましたが、無料プランの利用上限に達したため、Firebase Firestoreへ移行しました。
AI APIについては、開発側がAPIコストを負担し続けるのではなく、一般のユーザーも利用できる仕組み にしたいと考えました。
そのため、各ユーザー自身がAPIトークンを取得し、アプリに登録して利用する方式にしました。
ビジュアル制作
ビジュアル制作は、想像以上に試行錯誤が必要でした。
ベースのデザインをFigmaで作成し、そのデザインをもとにHTMLをClaudeへ渡して、まずはベースとなるUIを作成しました。
その後のデザイン修正では、シェイプで画像を切り抜くような表現など、テキストだけではAIに意図を正確に伝えにくい部分 がありました。
そこで、Figma上でシェイプを作成し、SVGとして書き出してClaudeへコードとして渡す方法に変更しました。
Figmaで視覚的に形をつくり、それをコードとしてClaudeに渡す。この連携によって、**「頭の中にあるイメージを、AIにどう伝えるか」**という部分の精度を上げながら、UIを作り込んでいきました。
作ってわかったこと・学び
「AIに任せられる」と「自分が理解している」は別
今回、知識がないままClaudeに任せすぎてしまった部分があります。
特に、**「いつの間にかセキュリティ上のリスクを自分が生んでいないか?」**という怖さがありました。
AIを使えば、知識がなくてもある程度動くものは作れてしまいます。
だからこそ、ただ手を動かして作るだけではなく、実際に作ってみることと、座学的に基礎知識をインプットすることをセットにする必要がある と感じました。
AIに任せるためにも、何を任せてよくて、何を自分で理解しておくべきなのかを判断できる知識が必要です。
作れるようになるほど、思考を意識的にコントロールする必要がある
自分で作りたいものをすぐに形にできるようになると、思考がどんどん具体寄りになっていきます。
「このボタンをこうしたい」「この画面をこう変えたい」「このアニメーションを入れたい」と、UIや実装の話にすぐ入っていってしまいます。
でも、本来大事なのは、**「そもそも何を解決したいのか」「その目的に対して、本当にこのアプローチでいいのか」**を考えることです。
AIによって「作る」ことのハードルが下がったからこそ、目的から逆算して考える思考を、自分自身で意識的にコントロールする必要がある と感じました。
「安い代替」ではなく、「これを選ぶ理由」をつくる
AIによって、既存サービスのようなものを低コスト・短時間で作れるようになりました。
だからこそ、単に「既存サービスより安い」「似たものを簡単につくれる」だけでは、価値になりにくいと感じます。
「かゆいところに手が届く」レベルでは、もう十分ではありません。
なぜこれを使うのか。なぜ既存のサービスではなく、これを選ぶのか。
そこまで含めて、本質的な価値を見つけることにフォーカスする必要があると感じました。
AIにはまだ「既存のものを読み解く」難しさがある
一方で、既存プロダクトの大規模なリニューアルのような領域では、まだまだ人間が担う部分が大きいと感じました。
既存システムの構造を理解する。複雑な制約条件を整理する。これまでの経緯を読み解く。その中で、本当にユーザーにとって意味のある体験を導く。
こうした作業は、単純に「新しいものを作る」こととは違います。
AIに案を出してもらうことはできても、複雑な状況を人間が整理し、紐解き、解釈したうえで、何をつくるべきかを判断することは、まだまだ人間の力が必要 だと感じました。
最後に
今回実際に一人でプロダクトを作ってみて、AIによって「作ること」のハードルは確実に下がったと感じました。
一方で、作れるようになったからこそ、「何を作るか」「なぜ作るか」「本当に価値があるのか」を考える力の重要性は、むしろ高くなっている とも感じました。
AIを使って何でも作れるようになることが目的ではなく、AIを使うことで、これまでより多く試し、考え、学べる状態をつくる。
今回のプロダクト制作を通して、そんなAIとの付き合い方が少し見えてきました。